Paluck, Shepherd & Aronow (2016) Changing climates of conflict: A social network experiment in 56 schools, PNAS.

研究目的
  • 人々が自らが所属するコミュティの他者の行動からどのようにして社会規範を学習・調整するか,を実験によって解明する.
実験デザイン
  • 2012年9月 - 2013年6月にアメリカの中学校で実施.
  • 全体で56の公立中学校を対象とし,そのうち半分の学校をランダムにtreatment groupに,残りの学校はcontrol group.
  • Treatment groupに選ばれた学校では,さらに生徒の中から”seed students”をランダムに選ぶ.実際にinterventionを受けるのはこのseed studentsのみ.
  • 各校につき平均26人のseeds.全体では728人.この中でも,特に交友関係の広いseedsの影響に注目する.彼らを"social referents"と呼ぶ*1

Intervention:

  • Seed studentsに対して隔週で実験RAが校内のconflict behaviors(いじめ,リスク行動,etc)について聞き取り調査.
  • Seed studentsはそれらに対する防止活動を主体的に取るよう指示される.例えばスローガンを作って校内やオンラインに掲示する.Seed studentsの顔写真も掲示して模範的行動を促す*2
  • 他にも,seed studentsはfriendly or conflict-mitigating behaviorsをしている他の生徒を発見したらリストバンドをプレゼントできる.

Outcome:

  • 聞き取り調査.例えば (how many students at the school participate in various forms of conflict) といった質問に対する回答を指標化.
  • 学校ごとの懲罰件数を示した行政データ.56校中49校で利用可.
結果
  • Control schoolsと比較して,1年間でtreatment schoolsの懲罰件数は30%減少.
  • また,seed groupにsocial referent studentsが多く含まれる学校ほど減少幅が顕著に大きかった.

*1:アンケートによって生徒の交友関係ネットワークを調査している.In-degreeが校内top10%である生徒をsocial referentsと定義.

*2:この辺がアメリカっぽい.日本でやったら逆効果な気もする...